クロスオーバー試験(混合効果モデル)

クロスオーバー試験で想定している結果

対象者を各順序群に無作為に割り付けることで、両群の治療Aと治療Bのが同じくらいになることを想定しています

効果の検証

持ち越し効果(carry-over effect)がある場合

washout期間は十分に確保できていたか?

*後発医薬品の生物学的同等性試験ガイドラインでは、washout期間 (休薬期間) が設定されています

持ち越し効果の検定

各sequenceにおける治療A+治療Bの平均値の差の検定(対応のないt検定)により検証

検出力が低いので有意水準は10%が良い(折笠, 2016)

検定の結果 p<0.1 になった場合は、クロスオーバー試験は適用できません

$\blacklozenge$ サンプルの持ち越し効果の検定

$Y_{11k}+Y_{12k}$ と $Y_{21k}+Y_{22k}$ の平均の差の検定

参考文献(折笠 2016)の図4の結果

R
#t検定
t1 <- t.test(c(Y11 + Y12), c(Y21 + Y22) , var.equal=T)

#t検定の結果
print(t1)

#AB群平均-BA群平均
mean(Y11 + Y12) - mean(Y21 + Y22)

#AB群平均-BA群平均の標準誤差
t1$stderr

p=0.1253(>0.1)のため持ち越し効果はないと判定します

治療効果(treatment effect)の検証 <t検定と混合効果モデル>

対応のあるt検定

治療Aと治療Bの比較

参考文献(折笠 2016)の図8の結果

R
#対応のあるt検定(治療A-治療B)
t2 <- t.test(c(Y11, Y22) - c(Y12, Y21) ) 

#t検定の結果
print(t2)

#AB群平均-BA群平均の標準誤差
t2$stderr

p=0.042なので治療Bが有意に高いことになります

混合効果モデルでも対応のあるt検定と同じ解を得ることができます

R
t3 <- lmerTest::lmer(
    point ~  treatment + (1|ID),
    data = dat
)
summary(t3)

A-B=-0.2647, t値=-2.21, p値=0.0421

ウィルコクソンの符号順位検定では以下のような結果となります (パッケージexactRankTestsを使用)

R
exactRankTests::wilcox.exact(
    c(Y11, Y22) , c(Y12, Y21), 
    paired=T, conf.int=T
)

検定統計量の結果が参考文献(折笠 2016)の図8の結果と異なります。詳細が分かれば追加で記載します。

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