傾向スコアマッチング、プロペンシティスコアマッチング

データの準備と要約

ここでは方法のみを記載してます。例題は統計学の勉強のためのものですので、実際の解釈とは異なる部分もあるとおもいますが、ご了承ください。

使用するパッケージ

library(twang)
library(tidyverse)
library(Matching)
library(WeightIt)

%>% 演算子を使うのでtidyverseを入れときましょう(magrittrdplyrでも可)

Rのパッケージtwangに入っているデータセットlindnerを使用します

ファイルlinderをdatに読み込みます(ファイルの読み込み方)

datにlindnerを格納します

dat <- read.csv("lindner.csv", header=T, fileEncoding = "UTF-8")

サンプルの確認

head(dat)

ヘルプでデータセットの詳細を調べます

??lindner

経皮冠動脈インターベンション(PCI:Percutaneous Coronary Intervention )

996 人の患者で収集された 10 個の変数のデータ フレーム
cardbill: 患者の最初の PCI から 6 か月以内に発生した心臓関連の費用
abcix: 1=アブシキシマブ投与の有、0=通常のPCI治療
stent:1=冠動脈ステント展開あり
height:身長
female:性別(女性=1)
diabetic:1=糖尿病あり
acutemi:1=急性心筋梗塞
ejecfrac:左室駆出率
ves1proc:患者の最初の PCI 手順に関与した血管の数
sixMonthSurvive:TRUE=PCI後6ヶ月で生存

sixMonthSurviveを数字にしてきます(このサイトでは2値変数を0,1に変換することを基本にしてます)

#生存=1, 死亡=0
dat$suv <- as.integer(dat$sixMonthSurvive)

アブシキシマブ投与の有無による死亡率の差を求めたい

基準の記載

dat$abcix <- as.factor(dat$abcix) %>% 
    relevel(, ref="1") 
dat$suv <- as.factor(dat$suv) %>% 
    relevel( , ref="0") 
tab <- table(dat[,c("abcix", "suv")]) %>% 
    print()

Rは若い数字が基準になるのですがrelevel関数で基準を明確に定義しておくことをお勧めします

今度はfactorに変換しました。factorにはlevelが付与されるため、分割表の基準を設定できるからです。下記の分割表の基準はabcix=1、suv=0です(暴露あり&死亡)。

アブシキシマブ投与の有無による死亡率の差は約3.5%

#暴露群のリスク
(A <- 11/(11+687))
#非暴露群のリスク
(B <- 15/(15+283))
#暴露あり群の暴露なし群に対するリスク比
A/B
#リスク差(非暴露群のリスク-暴露群のリスク)
B-A

しかし、この死亡率の差には糖尿病の有無が関連していたとします

(実際の解析のときには、なんらかの根拠が必要です)

注意

パッケージEpiなどを使用する場合、基準が若い数字になります

つまり暴露なし&死亡が基準となります

library(Epi)
twoby2(tab)

基準をそのまま使用する場合には、もとめた式をそのままtwoby2関数に渡します

twoby2(table(dat[,c("abcix", "suv")]))

ロジスティック回帰分析

y=diabetic:暴露群(糖尿病あり)、非暴露群(糖尿病なし)

説明変数にabcix、diabetic、sixMonthSurvive以外の全変数を投入

fit <-  glm(
    diabetic ~ stent + height + female + acutemi + ejecfrac + ves1proc , 
    family = binomial(link = "logit"), 
    data = dat
)

summary(fit)

ステップワイズで変数選択(少々乱暴ですが・・・)

step(fit)

残った変数のみで、再度ロジスティック回帰を実行して傾向スコアを求めます

fit2 <-  glm(
    diabetic ~ female + ejecfrac, 
    family = binomial(link = "logit"), 
    data = dat
)

summary(fit2)

傾向スコア(最初の10人分のスコアを表示)

ps <- fit2$fitted.values
ps[1:10]

この傾向スコアをもとにマッチングします

attach(dat)
psm <- Matching::Match(
    Y = as.integer(dat$suv) , 
    Tr = (dat$abcix==1), 
    X = ps, 
    M=1,
    caliper =0.3, 
    ties=FALSE, 
    replace = FALSE
)
detach(dat)
summary(psm)

Y=傾向スコア調整後に比較したい値
Tr=比較対象(アブシキシマブ投与の有りと無しでマッチング)
X=傾向スコア
Z=バイアス調整を行いたい共変量を含む行列

M=検索して一致させるスカラー数。 デフォルトは 1 対 1 のマッチングとなっている。1対複数の設定が可能。

caliper=マッチング時に使用するキャリパー。 キャリパーとは、マッチングが許容される距離です。 キャリパーより大きい差のあるマッチングは除外されます。 キャリパーが指定されている場合、すべての共変量に使用されます。ベクトルが指定されている場合、X の各共変量にキャリパー値を指定する必要があります。キャリパーは標準化された単位です。 たとえば、キャリパー = .25 は、X の各共変量の .25 標準偏差と等しくないか、その範囲内にないすべての一致が除外されることを意味します。 一般に、観測値を削除すると、推定される量が変わることに注意してください。

Original number of observations:被験者の総数
Original number of treated obs:糖尿病有りの総数
Matched number of observations:マッチングした総数

傾向スコアマッチング後の暴露有無による死亡率の差

#暴露群 abcix=1
treat <-dat[psm$index.treated,]
#非暴露群 abcix=0
control <-dat[psm$index.control,]
dat2 <-rbind(treat,control)
table(dat2[,c("abcix", "suv")])

暴露の有無による死亡率の差は約2.5%

$\dfrac{427}{9+427}-\dfrac{149}{7+149}=0.02422959$

#暴露群のリスク
(A <- 3/(3+294))
#非暴露群のリスク
(B <- 14/(14+283))
#暴露あり群の暴露なし群に対するリスク比
A/B
#リスク差(非暴露群のリスク-暴露群のリスク)
B-A

IPTW(Inverse Probability of Treatment Weight)

(逆確率重み付け、逆数重み付け)

暴露群の重み:$重み=\dfrac{1}{傾向スコア}$

非暴露群の重み:$重み=\dfrac{1}{1-傾向スコア}$

IPTW <- WeightIt::weightit(
    diabetic ~ female + ejecfrac,
    data = dat, 
    method = "ps",  #ロジスティック回帰によって傾向スコア
    estimand = "ATE" #IPTW
)

datに”傾向スコア”と”重み”を追加します

dat_IPTW <- mutate(
    dat,
    ps = IPTW$ps, 
    weight = IPTW$weights
)

head(dat_IPTW)

SMRW(Standardized Mortality Ratio Weight)

暴露群:重み=1(そのままのデータを使用)

非暴露群:$重み=\dfrac{傾向スコア}{1-傾向スコア}$

SMRW <- WeightIt::weightit(
    diabetic ~ female + ejecfrac,
    data = dat, 
    method = "ps",  #ロジスティック回帰によって傾向スコア
    estimand = "ATT" #SMRW
)

dat_SMRW <- mutate(
    dat,
    ps = SMRW$ps, 
    weight = SMRW$weights
) 
head(dat_SMRW)

佐藤俊哉, & 松山裕. (2011). 交絡という不思議な現象と交絡を取りのぞく解析—標準化と周辺構造モデル—. 計量生物学32(Special_Issue), S35-S49.

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